「令和2年7月豪雨」は九州や岐阜、長野などに甚大な水害をもたらした。もし自分が水害に遭ったとき、税務面ではどんな救済措置が利用できるのか。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は、「確定申告で申請すれば税金が安くなる方法がある」という——。
水災補償の加入率は66%
地震、雷、火事、親父。
日本で怖いものといえば、誰もがこの4つを唱えるのではないだろうか。親父の威厳がなくなりつつある昨今、4つ目の親父に関しては疑問が残るが、1つ目から3つ目までは自然による災害。特にここ数年、日本で恐れをなしているのは水による被害だ。
令和2年7月。大雨による河川の氾濫は多くの家屋を水没させた。ある建物に備え付けられた防犯カメラは、数分間で水位が上がる様子をとらえていた。家を飛び出し泥水をかき分け泳いで逃げる人や、屋根から子ども用のプールを使って救助される様子などが報道され、多くの人がその恐ろしさを知ることとなった。
「一日も早く施設を復旧させて、商売を再開させたいと思っています」
旅館の女将がニュースのインタビューに答えていた。旅館などであれば、水害についても保険をかけていただろうと想像する。では、一般の方はどうだろうか。
内閣府防災情報ページでは、火災補償に比べ、水災補償や地震補償の加入割合は、まだまだ低い状況にあるとしてデータを公表している。
水害補償は河川近くに住まれている方はもちろんだが、最近では都心部のゲリラ豪雨などで、床上浸水する可能性もあることから必要性が高まっている。この機会に自分は水災についてどんな保険に入っているのか、確認しておく必要があるだろう。
さて、災害によって被害を受けられた方に対する税制上の措置(手続)があることをご存じだろうか。国税庁HPでは、「災害関連情報」→「最新のお知らせ」→「令和2年7月豪雨により被害を受けられた皆様方へ」→「災害により被害を受けたとき」とページを繰っていくと「災害に関する所得税の取扱い(個人の方)」にたどり着く。