僕にとって学びと喜びの時間

訪問先では人々との語らいに時間をとります。例えばロサンゼルスではほぼ毎回、日系の方々と会うようにしています。日本の食文化を広めたいと熱意を持たれている方や、若い日系4世の方などとの語らいは、僕にとって学びと喜びの時間です。

旅先では必ずバーや酒場をはしごすることにもしています。量は飲みませんよ。でも必ず「イチオシ」の一杯を飲んで、お店の人やお客さんと語らうんです。NYやシカゴのバー巡りでは「さすが人種のるつぼ」と興奮します。新しいカクテルやマネジメントの工夫、どれもが素晴らしい勉強になります。お店の人に「いつもサントリーをありがとう」と直接お礼も言えますしね。

そんな場では、つい同行者の振る舞いも見てしまいます。「俺が、俺が」と自分しか見えず部下に気を使わせているのは論外ですが、反対に僕に気を使いすぎるのもNGですね。せっかくそういう場にいる。そういうときこそ最良のアウトプットができる人材を僕なら評価しますね。若い部下には、さりげなくバーでの振る舞い方を見せてほしいし、僕がいるなら、僕をダシにして店の人と有意義な語らいをしてほしい。酒の席では人間性が一番出ますね(笑)。人との出会いはいつだって学びであり、最良のアウトプットでもあるのではないでしょうか。

(構成=三浦愛美 撮影=横溝浩孝 写真=Getty Images)
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