そんなわけで、私の日常のかなりの時間はミーティングに割かれます。気をつけているのは時間管理で、特に運動をするための時間を確保すべく、まっさきにスケジュールに組み込んでいます。人との面会は思いのほか体力がいるものです。疲れてイライラしながら面談しても、良い効果は生まれませんから、そのエネルギー確保のためにも、体力維持の運動が欠かせないんです。

理想は「7時間睡眠+週3回の運動」ですが、実際には「5時間睡眠+週1~2回の運動」が現実的。ジムでパーソナルトレーナーをつけての2時間運動を、かれこれ20年間は続けています。確実にパフォーマンスに差が出ますよ。

「新浪は持っている」相手にそう思わせる

海外出張の際もフライト後に必ずジムに行きます。機内で凝り固まった体をほぐし、乳酸を出せば時差ボケ解消にもなる。せっかく海外に来たのに、眠くて大切な判断を見誤るのは絶対に避けたいですから。

海外では大量の人から多様な意見を仕入れます。我々の仕事は、良い商品さえつくれば成功するわけではなく、お客様の声や現場の声、開発者やマネジャーの声など、さまざまな意見を必要としています。

世界的な広い視座も欠かせません。世界のどこかで起きた出来事が日本経済に影響を与え、街中の人々の消費行動が変化していくからです。

「世界経済フォーラム(ダボス会議)」や、「外交問題評議会(CFR)」などに積極的に参加するのもそのためです。各ジャンルのキーパーソンと世界情勢や経済について語らうことで「いま世界一ホットな話題は何か」が見えてきます。もちろん新聞やニュースでも情報は取れますが、それではどうしても後付けの確認になってしまう。世界動向の先取りは現地で取得するのが一番です。

そのためには自分自身が勉強していることも大切です。海外は日本以上にドライですから、お互い有益な情報を持っていなければ、貴重な時間を割いてはもらえません。1度は会えても、2度と会ってもらえないかもしれません。「数ある日本人経営者のワンオブゼム」になるか、あるいは「新浪なら何か持っている」と思ってもらえるか。知識や情報、情熱、人にはない“サムシング”を持てるよう心掛けています。そうやって相手との関係を深めるのです。

本や資料を読み込む「インプット」は、主に移動中の機内で行いますが、やはりface to faceの「インプット」も僕は大切にしたいですね。