サクッと「叩き台」を作り、精度を高める

しかし企画は違う。何も決まっていない状態で、何をすべきか決めるのが企画だ。しかも現代は変化が激しい。ボヤボヤしていると置いていかれる。企画段階で完璧を期して時間をかけること自体、致命傷になる。だからこう考えるべきだ。

「企画とは、ザックリした仮説である」

企画は「こうすればうまく行くはず」という「仮説」であり、たたき台なのだ。叩き台なので簡単でいいし、間違ってもいい。

ただ間違った企画をそのまま実行すると大変なことになる。そこでサクッと叩き台を作り、仲間に見せて意見をもらい徹底的に叩く。叩き台として仲間の知恵を集めていく。こうして企画の精度を高めていくのだ。

仮説を立てて企画を進める上でいくつかコツがある。その中の1つを紹介しよう。

よい企画は、最初に「完成イメージ」がある

企画がどんな形になるのかが誰もわからないまま、企画を進めていることはないだろうか? これではよい企画にはならない。よい企画は最初に完成イメージを作り、全員がその完成イメージを共有し、ゴールに向かって一枚岩で動く。

あるヒット商品を連発する企画担当者は、最初に本物と同じ商品カタログを作るという。商品カタログの役割は、消費者に向けて、写真や文章で製品の特徴を簡潔に伝えることだ。最初にリアルなカタログを作れば、お客様が買いたくなるかもわかるし、開発・営業チームも具体的なゴールを共有できる。

あるベンチャーの創業者は、出張先で同僚とお酒を飲んでいる時に新規事業のアイデアを思いついたという。その晩、ホテルの部屋でサービスの発表プレスリリースの文章を書き、翌朝読み返したら「これはいける」と手応えを感じて事業を立ち上げた。今は日本を代表するベンチャー企業だ。

いずれも最初に完成イメージを作っている。