お気に入りの読書会を誰もが持てるといい
「初めての人も50回目の人も居心地がよい」
猫町倶楽部はそんな場所でありたいという山本さんは、読書会でできる“弱いつながり”をとても大切なものだと考えている。
「誰もが、人生に行き詰まることがある。そんな時に、突破口になるようなきっかけを与えてくれるのは身近にいる強いつながりの人じゃなくて、外にいる弱いつながりの人だと思うんです」
自分をよく知っている人の意見は、想定内を逸脱しない。でも、そうじゃない人の言葉は時に思いがけない道を拓いてくれることがある。
「読書会での人間関係って、まさにそんな感じでしょう。普段なら出会うことのない年代や属性の人と接点を持つことができる」
そして、場の力や他者の力を利用することによって、自分の殻を破って新しい考えやアイデアが生まれてくることがある。読む力や理解する力も膨らんでいく。
「1人できちっと本を読むことよりも、誰かとそれについて話すことのほうが役に立つ」という確かな手ごたえを持っている山本さんは、読書をする人がみんなそれぞれにお気に入りの読書会を見つけてほしいと思っている。
日本最大規模の読書会コミュニティ「猫町倶楽部」主宰
1965年名古屋市生まれ。住宅リフォーム会社を経営する傍ら、2006年から読書会をスタート。名古屋のほか東京や大阪などで年200回ほど開催し、のべ約9000人が参加している。著書に『読書会入門―人が本で交わる場所』(幻冬舎新書)がある。