2年間、2000人との出会い
新卒でNTT東日本に入社した山本さんは最初に配属された宮城県石巻市で2011年3月11日を迎えた。東日本大震災で大きな被害を受けた被災地の一つであるこのエリアで震災直後から復旧活動のために走り回ったとき「会社の事業が生活に不可欠なインフラであることを再認識」し、「NTTでの仕事は一生をかけるに値する」という想いを新たにした。
宮城支店に異動後も、復旧を前に進めるために精力的に取り組んだ。高齢者の見守りにICTを活用するサービスなどの一連のプロジェクトは国内のみならず海外からも注目を集めて、一躍社内の有名人に。その後、27歳で本社の花形部署であるビジネス開発本部への異動が決まり、本人いわく「自信満々で」東京に戻ることとなった。
「新しい事業を起こしてやる」
ところが、そこで待っていたのは大企業の縦割り組織の中で、自分の声が誰にも届かないという現実だった。連日の社内調整会議、上司のための資料作り。新しいことを始められそうな可能性はみじんも感じられなかったという。
そんな状況は、やる気満々だった山本さんを昼間の売店で時間を潰す“サボリーマン”に変えた。可能な限り早く会社を出て飲み会に直行する日々が続いた。社外に出ると、仕事の話を楽しそうにする大企業の若手社員と会うようになる。いつからか「知見と人脈を誰よりも高めてやる」と考えるようになっていた。
この時期、山本さんはさまざまな社外交流会に参加し、2年間で2000人と出会っている。その中で、後に山本さんの行動を大きく変えることになる一つの出会いがあった。