企業のファンイベントを成功させるポイントはなにか。クラフトビール「よなよなエール」は、募集人数がたった4人という試飲会を開いた。イベントを手がけたコミュニケーションデザイナーの高橋遼さんは「重要なことは、『誰を呼ぶか』より『誰を呼ばないか』です」という――。

最初の関門は参加者を選ぶこと

高橋さんの仕事は「ファンを軸にしたマーケティング支援」だ。その一環として開催するファンイベントの参加者は、だいたい10人程度。意外に少ないと思う人もいるだろう。高橋さんたちが取り組んでいるのは「特に熱量の高い小規模のファンイベント」だ。これを「多様なファンを招いておもてなしするイベント」と混同するとイベントの満足度が下がってしまうという。

プリヤ・パーカー『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)

満足度の低い残念なファンイベントにしないためには、何よりも「的を絞った参加者選び」が重要だと高橋さんは考えている。

「ある商品やブランドのファンの人は、メルマガに登録していたりSNSでコミュニティに参加したりしているので母数はかなり大きいんです。そのなかからその都度、イベントの目的によってしっかりと的を絞って集客します」

この場合の「的」に当たるのは、ファン一人ひとりの固有の価値観だ。好きは好きでも、それぞれに「ここが好き」のポイントがあり、それはブランド側が想像する以上に千差万別だという。