アジアから世界に目標を引き上げたANA
収益性の高いビジネス路線を制して、ANAは攻めの経営を続ける。経営姿勢をより野心的に変えたANAの戦略をIR統合報告書で見ると次の通りとなる。2012年度までのANAグループ経営ビジョンでは、アジアナンバーワンエアラインを目標に掲げていた。
その後は持株会社制に移行し、ANAホールディングス株式会社となった初めての中期経営戦略で、経営目標を「世界のリーディングエアライン」に引き上げたのだ。航空業界の競争が激しさを増す中、アジアだけではなく世界を代表するエアラインを目指す積極的な姿勢を打ち出した。ここ6~7年の間に、ANAは大きく成長した。
当初は近距離国際線で始まった路線競争は、今では世界全路線に及んでいる。この先はグループ内のLCC(格安航空会社)も巻き込んで、中・長距離国際線でも競争を激化させる。適切な競争が起こることで航空運賃の低廉化が進めば、利用者にとって健全な消費環境だと言える。