新聞界が力を注ぐべきことは他にもある
紙の新聞を必死で守ろうとする新聞社の姿勢も分からないわけではない。広告料単価の高い紙の新聞は圧倒的に高い収益性を誇ってきた。だが、それを守ることだけにとらわれて、デジタル化の波に乗り遅れてしまっては、将来のビジネスモデルが築けない。また、電子新聞だけで紙の新聞と同じ収益を稼ぐのはいまのところ難しく、独立性の高いジャーナリストを雇い、育てていくことはできない。より利便性が高く、紙の宅配がなくても毎月4000円以上の契約料を稼げるデジタルメディアを作り上げることなど、本来、新聞社が力を注ぐべき事は山ほどある。
どうせ軽減税率を主張するのならば、紙の新聞だけを守るような要望をするのではなく、インターネットメディアなど、本当に国民が必要としている「知識・教養を広く伝える公共財」すべてを対象にするよう求めるべきだったろう。「紙の新聞だけ」という特別扱いに安易に飛びついた新聞界は、その焦りばかりが目立つ。