入学要件は「中学校を卒業していること」だけ

N高には、入試がありません。中学校を卒業していることだけが入学要件です。

生徒を一人でも多く受け入れることは、教育機関の社会的使命であるとも考えています。それは同時に、教育を行う責任が重くなることを伴います。一般の高校では入口段階で、何らかの学校に望ましい入試を行い、選ばれし子どもたちが自ら切磋琢磨して、結果を残していく。

では、入試のないN高は、学校としての教育の成果をどのようにして創っていこうとしているのか。それは、多種多様な生徒のそれぞれの進路を見いだすために、個々の生徒とともに、学校もできるだけ多くの環境を用意する。教育の原点とも言えるこの考えこそ、N高が大切にしたいことでもあります。

N高は2016年4月に開校してから丸3年を迎え、この春、第1期生1593名の卒業生を送り出しました。卒業生の中から、大学進学を希望した生徒たちの実績として、国公立大学では九州大や筑波大、私立大学では早稲田大、慶應義塾大、上智大などの難関大学の合格者が出ました。

もちろん大学進学だけが子どもたちのニーズではありません。「教育は多様であることを認める」、これも揺るがしようのない大切なことだと考えます。教育は、多様な子どもたちを一枠に当てはめるのでなく、多様な学びのスタイルを認めることが必要です。

補助金を受けずに運営している

N高運営には、コストがかかります。N高は金もうけ主義だと言う方々もいますが、授業料収入だけで、全てを賄っているのがN高です。一人でも多くの支持を得るために、コンテンツ、指導体制、生徒募集体制に全力を注いでいるのです。

教育も民間事業体と同じとわれわれは考えています。いわゆる学校運営に対する補助金の類は、開校以来、一切受けていません。

頂いた授業料を活用して、生徒の皆さんに教育サービスを還元しています。世の中の、民間事業者であれば当然のことなのですが……。このことが自らを律し、変化していく必要性を常に感じさせる要因でもあります。

学校は、自分たちの教育は、社会に出たときに役に立つのかという視点が欠落していてはダメだと考えます。昨今、高大接続以上に大切なのは、社会と教育の接続です。大学に入ることが最優先、子どもたちの生きる力を伸ばすことには無頓着、保護者も進学実績で学校を選択する。ここには、社会の変化に伴う、学校の自己変革のメカニズムは存在しないのです。

われわれは、決して教育の改革とか大上段に構える気はありません。与えられた枠組みの中で、最大限の努力をし、可能性を信じて変化を恐れず運営していくだけです。

今後、N高は、学習効果の検証、教育の質の確保を行いながら、生徒の進学先や就職先、卒業生の活躍などを通じて、誰もが認める存在になることこそが、われわれの進むべき道だと考えます。何よりも子どもたちが、一人でも多く、自信をもって「N高の生徒です。卒業生です」と言える学校を目指していきたいと考えます。

画像提供=N高等学校
平成30年度の卒業式
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