飛行機に乗るだけの「修行」という旅行スタイル
この企画は現在、「跳び飛びの旅」という商品名で継続販売されている。羽田と伊丹空港を起点とし、1泊で8フライトから2泊3日で15フライトまでの4種類のパッケージプランだ。
鹿児島空港や那覇空港を経由して離島を次々と乗り継いでいくため、観光の時間はほとんど無く、移動だけのツアーだ。それでも達成感を求めるマニアが飛びついた。自身で航空券とホテルの手配は大変だが、ツアーだと簡単に手続きが済むからだ。
当初はなかなか客足が伸びなかったが、2015年に始まったテレビ番組『沸騰ワード10』(日本テレビ系)で、飛行機に乗るだけの旅が「修行」という呼び方で紹介されると、徐々に注目を集めるようになった。2008年の発売開始から2015年までの利用客は約3000人だったが、2016年から2019年までの利用客は約8000人だという。
ジャルパック広報は「ニッチな商品で、一定数の売上にとどまると思っていたが、現在では奄美方面への送客を支える基幹商品の一つとなっている」とツアーの好調さをアピールしている。
ジェット機とプロペラ機の「加速の違い」を体感
筆者は今年6月、2泊3日で15フライトするパッケージプランに参加した。
羽田から福岡空港へはJALのフライトで、ボーイング767‐300は252席。那覇に入る子会社のJTA日本トランスオーシャン航空のボーイング737‐800は165席だ。その後、離島の旅はJAC日本エアコミューターの新型機材、フランスATR社のATR42‐600の48席機材を中心にフライトがつながっていく。路線によっては、同じJALグループの琉球エアコミューターや、J‐Airのフライトも体験できる。
誘導路の無い空港では機体は滑走路を走り、離陸位置まで移動する。そこで180度方向を変え、離陸していく。滑走路端にしるされた磁方位の数字も近くで確認できる。
ジェット機とプロペラのターボプロップ機では、離陸時の加速の違いがわかる。ジェットエンジンはスムーズに加速するが、ターボプロップ機はプロペラのピッチが離陸位置にセットされると背中がシート押し付けられる加速感も感じることができて、新鮮だった。