「究極の非日常感」を簡単な手配で味わえる

国際線は、テロ、感染症や自然災害などのイベントリスクで、乗客数が急減する恐れがある。くらべて国内線は比較的安定的に収益をもたらす。

JALには「国際線中心」というイメージがあるかもしれないが、2018年の収益構成の実績を見ると国内線が5280億円に対し、国際線が5306億円の売り上げとなっており、比率はほぼ拮抗している。国土交通省の「国内定期路線旅客実績」によると、国内路線のうち「ローカル線」の旅客数は58%で、「幹線」よりも多い。ローカル線は本業の中でも将来長きにわたって安定して育てていかねばならない路線なのだ。

撮影=北島幸司
那覇空港から与論空港への航路の機窓からの眺め

このプランに参加してみて、航空ファン以外の一般客にも訴求できる魅力があると感じた。ガイドブックに載るお仕着せの観光地を巡るだけの旅に飽きたリピーターは一定数存在する。その中で、このツアーは短期間に10数回ものフライトを繰り返す。参加者は「本当にできるだろうか」と一抹の不安を抱くはずだ。

それを乗り超えて行く小さな「冒険の旅」が、簡単な手配でできるのが最大のセールスポイントだろう。一度に多くの離島を巡ることができるのはツアーならではだ。個人手配で多くの便を乗り継ぎ時間を考えながら予約するのは難しい。このツアーならおススメの便をインターネット上で選んでいくだけで、「究極の非日常感」を手軽に味わえる。

年間を通じた「安定集客」のための商品

しかも宿泊地への往復以外は空港から出ないため、観光地を巡るためにスケジュールを考えたり、タクシーやレンタカーなどを手配したりする必要がない。それでも旅の充実感が得られるのは、これまで書いてきたとおりだ。

航空会社は国内ローカル線の旅客数を増やすために、さまざまな施策を打っている。たとえば観光客誘致で、国立公園への指定や、世界遺産登録の好機を逃さない。地震や豪雨の被災地への復興を観光で後押ししようとするプランもある。

そのなかで今回の商品は「乗るだけ」という大胆さで際立っている。ほかの国内路線に波及していく可能性もあるだろう。利用客の少ない路線を維持するためには、年間を通じた安定集客のための知恵を絞らなければいけない。今回の企画は、その一歩となるものだと感じた。

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