「2泊3日だが、空港からほぼ出ず、飛行機に15回搭乗するだけ」という航空ファン向けのニッチなツアーがある。どんな客が、何のために利用するのか。航空ジャーナリストの北島幸司氏が、このツアーの醍醐味を解説する――。
撮影=北島幸司
喜界空港のターミナルビルは、見渡せば全ての施設が視界に入る

奄美群島と沖縄の離島をめぐる「アイランドホッピングの旅」

乗り物趣味を楽しむ層がいる。なかでも鉄道を趣味とする「乗り鉄」は、鉄道各社が専用の列車やプランを企画するなど根強いニーズがある。これを参考に、ジャルパック(JALPAK)では2007年に、新千歳と那覇を結ぶ日本最長路線1往復を含めたツアーを売り出した。羽田から北海道と沖縄を組み合わせた行程で、1泊2日8フライト、最長3.5時間のフライトを含む商品が10万円で楽しめるお得な商品だ。

このツアーは1カ月で売り切れたが、意見が出た。参加者アンケートには、「長距離フライトは疲れる」「短距離の路線にたくさん搭乗したい」とあった。航空ファンだからといって、とにかく長く乗れればいいわけではないのだ。

そこで「短距離の路線にたくさん搭乗できる」というテーマから、2008年に奄美群島と沖縄の離島をめぐる「アイランドホッピングの旅」という企画が生まれた。