「対話の拒否」は民主主義の否定である

繰り返しになりますが、大学入学共通テストは「主体的・対話的で深い学び」の成果を試す試験であるはずです。しかし、今、冒頭で述べた英語民間試験の導入を含む試験内容の決定プロセスにおいて「対話の拒否」が堂々と行われているのです。これこそ自己矛盾の極致ではないでしょうか。せっかくの新しい教育理念を有名無実にしてしまう暴挙です。

9月10日、全国高校長協会は、大学入学共通テストで導入される英語民間試験について、試験の衆知に計画性がなく、詳細が明確になっていないという考えのもと、導入延期と制度の見直しを求める要望書を文科省に提出しました。

しかし、柴山氏は「かえって受験生の地域格差、経済格差が拡大して、大きな混乱を招く」と述べました。切なる要望を容赦なく突っ返したも同然の行為と言えるでしょう。

今回のような政治家による「対話の拒否」は、端的に言って民主主義の否定です。そしてそれは今後、「教育」以外のカテゴリーにも起こる可能性があります。

このたび新しい文科相に、萩生田光一氏が任命されましたが、果たしてどのような考えを持ち、「対話」の精神があるのかないのか、国民は目を光らせていかなければなりません。

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