15年ひきこもりの長男が就職支援センターに通い始めた
約束の日、相談ルームの扉を真っ先に入ってきて、話し始めたのは長男でした。
「先生、いろいろと調べたら、SEの技術を身につけられる就職支援センターがあったので通い始めました。初期費用の10万円は貯金から出してもらいましたが、やりくりを工夫して、交通費などは生活費から捻出しています。貯金も順調です」
「そうですか。すごいですね」
そう言うと、長男は小声で言いました。
「母に頑張らせてばかりじゃいけないから」
3人の話によると、前回の面談後にUR賃貸住宅の事務所に行き、即内見。古さ・狭さは気になったものの、家賃の安さにひかれ、入居を決めたそうです。引っ越しは業者を使わず、子供2人で少しずつ運んだのでほとんど費用がかからなかったようです。
帰り際、長女が私のそばに駆け寄り、こう耳打ちしました。
「この調子で、兄が仕事につければいいですけど、どうなることやら。ただ、就職できなくても、計画通りに貯金すれば暮らしていけることがわかったので、焦りがなくなりました。兄も同じ気持ちかもしれませんね」
この仲良し家族の願いがかないますように。そう祈らずにはいられないご相談でした。