市場統合で見えた2つの問題点
ここで1つ目の問題が浮き彫りとなります。新規株式公開する際の入り口として、若い小さな会社を受け入れる「東証2部」「マザーズ」「ジャスダック」は似た区分であるにもかかわらず、併存したままの状況は投資家にとってわかりにくいものとなっています。市場統合で冗長となった構造を整理し、見直す時期が来たというわけです。
この間、東証1部の企業数は2150社を数えるに至りました。企業規模を示す時価総額が20兆円を超えるトヨタのような会社がある一方、100億円未満の会社も300社弱あり、その実態には大きな開きがあります。
東証の上場基準では、未公開企業が東証1部に上場するには時価総額が250億円に達していなければなりません。ところが、東証2部やマザーズなどから東証1部に鞍替えする場合、時価総額は40億円でよいことになっています。その後、順調に成長すればいいのですが、1部上場がゴールになり、成長の努力がそこで止まる企業も見受けられます。18年末時点で時価総額250億円未満の会社は750社近くあり、東証1部上場企業数の約35%に当たります。ただし時価総額の合計でみると、全体の2%未満にすぎません。これが2つ目の問題です。
機関投資家のなかには、時価総額100億円を投資対象とする基準にしているところもあります。時価総額が100億円に満たない会社は、流通している株数、日々成立する出来高が少ないので、機関投資家が買いたいロットで売買できないといいます。したがって、このまま質を伴わないのに東証1部にいる企業が増え続けては、市場のステータスがどんどん下がってしまうと問題視する声もあるわけです。
こうした2つの大きな問題を解消するため、東証は市場構造の見直しに乗り出しました。具体的にどのような形を目指すのでしょうか。