宇宙でも実践した規則正しい生活

【三宅】宇宙での生活についても少しお聞きしたいのですが、やはり睡眠の時間というのがあるのですか?

【山崎】宇宙では24時間サイクルを体感できない分、地球にいるときよりも規則正しく生活します。睡眠時間は夜10時から朝6時まで。宇宙船は狭いですが、使える面は床、壁、天井といろいろあるので、各自が自分の寝袋を固定して寝ていました。

【三宅】無重力でも寝られるものですか?

【山崎】慌ただしく一日を過ごすので、消灯するとみんなすぐに寝ていましたね。ただ、宇宙だと眠りが浅くなるのか、私は夜中の3時や4時に起きてしまうことが多く、ふと目を開けると天井に誰かの顔がボワっと浮いて見えて、少しギョッとしたり(笑)。でもそのまま起きるとほかの人の迷惑になるので、6時まではひたすら寝袋の中でジッとしていました。

【三宅】宇宙にいらっしゃるときに、ご家族と連絡する手段はあったのですか。

【山崎】はい。ありがたいことに1週間に一度は自分が指定した方と15分ぐらいテレビ会議で話す時間をいただけましたし、インターネット電話であれば空き時間に自由にできました。電子メールは普通に使えます。

帰還後、地球の緑の香りに感動する

【三宅】宇宙には何日間いらっしゃったのですか。

【山崎】15日です。正直、もっといたかったですね。後ろ髪を引かれながら帰ってきました。

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【三宅】戻ってこられて世界観が変わられたことはありましたか。

【山崎】地球に戻ってきたときに真っ先に驚いたのが重力です。自分の体が重く感じるのは想像できますが、紙1枚ですら重く感じたときは本当にびっくりしました。

そんな感じでフラフラしながらシャトルの外に出たときにちょうど風が吹いてきまして、緑の香りが漂ってきたのです。「あ、植物の香りってこんなにすてきなんだ」と気づいて、感動しました。たった15日間でしたが、地球を離れてみることで自分のなかで当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかったことに気づかされるのです。宇宙から見る地球ももちろんきれいなのですけれど、私たちの身の回りにある日常の景色も十分美しい。そんな気持ちになれます。

(構成=郷 和貴)
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