プロフェッショナルは万全の体調で仕事に励む。昼に100%の力を発揮するため、夜は何をしているのか? その習慣に迫った。

眠る前、必ず子どもにつぶやく言葉

2010年に地球を飛び立ち、国際宇宙ステーション(ISS)を含め、宇宙で15日間を過ごした山崎直子氏。地球上では訓練できない“無重力状態での眠り”を経験した。

宇宙飛行士 山崎直子氏

スペースシャトルのコックピットは、四畳半ほどの広さです。夜はそこで、各国の宇宙飛行士たち男女7人が一緒に眠りました。四畳半といっても床に雑魚寝するわけではなく、無重力ですから、壁で眠る人もいれば、天井で眠る人もいます。空間全体が使えるから、狭いとは感じませんでした。

ベッドはなく、それぞれ寝袋に入ります。コンピュータなど機器の関係で室温は20度前後に保たれているので、寝袋の中でも肌寒いです。寝袋は勝手に移動しないように壁や天井のフックにつなぎます。夜中にふと目を覚ますと、別の飛行士の顔が地上では考えられないところ、例えば上に浮かんでいて、ギョッとしたことが何度かありました。いびきや歯ぎしりも聞こえましたが、無重力のせいか、地球上よりは軽減されるようです。

ISS日本実験棟「きぼう」の中では、私は天井のほうに足を向け、逆さ吊りみたいな格好で眠るのが好きでした。そうすると顔が窓の近くになります。その姿勢で窓から見る景色は格別でした。船外プラットフォームが広がり、その少し上のほうに青い地球が見えます。写真で見るのとは違って、とても感慨深い眺めでした。