ミャンマー語の雑誌3000部が「すぐなくなる」
たいていのミャンマー食材がそろうが、野菜など手に入らないものは自分たちで栽培してしまうのだそう。千葉や埼玉など郊外に住んでいて畑を持っているミャンマー人が、日本の気候や土と格闘して故郷の野菜を育てるのだ。そしてフェイスブックで宣伝をして直売する。「タック・イレブン」の食材店にも卸す。フェイスブック上には食材だけでなく、ミャンマーの弁当屋や雑貨屋もあるのだとか。
高田馬場にはほかにも、ミャンマー人の集まるカラオケレストランや、パソコンスクール、美容院、マッサージ店なども集結している。
ミャンマー語のフリーペーパー「ハロー・ミャンマー」もある。発行しているのはミャンマー人向けの国際電話カードなどを販売する会社だ。日本語とミャンマー語による誌面構成で、政治、経済などミャンマー関連のニュースが充実している。また日本文化の紹介、ビザについてのアドバイス、マイナンバー制度が外国人に及ぼす影響などなど、生活情報も豊富だ。
ミャンマー大使館のほか、レストランや旅行会社、大学、日本語学校などに配布するため毎月3000部を刷っているが、好評ですぐになくなってしまうという。広告効果も高いそうだ。高田馬場にミャンマー社会がすっかり定着しているシンボルのような雑誌だ。
発行主である間宮さんは日本に帰化したミャンマー人だ。これからもミャンマー人は増えていくだろうと話す。
「これまでは留学というと欧米やシンガポールが多かった。それが日系企業の進出ラッシュによって変わってきています。アニメや漫画など日本文化も人気。これから留学生は多くなっていくでしょう」
ミャンマー人の「駆け込み寺」となった夫婦
高田馬場に集まってくるミャンマー人を、ずっと支え続けている夫婦がいる。JMCC(日本ミャンマー・カルチャーセンター)を運営する、マヘーマーさんと落合清司さんだ。
ミャンマー人向けの日本語教室を開き、日本人向けにはミャンマー語教室や、竪琴や料理、伝統舞踊など、ミャンマー文化の講座も行う。
そしてここは、ミャンマー人の駆け込み寺でもあるのだ。
「ミャンマーからやってきたばかりの人からは、どこに住んだらいいのか、仕事はどうしようか、銀行で口座をつくりたいんだけどどうしたらいいのか……そんな相談が寄せられます」
そう語るマヘーマーさんは、細かな悩みやけっこう重い話まで、できる限り一緒になって考えるのだ。面倒見がいい、というよりよすぎるのかもしれない。日本語学校と、中央大学を卒業しただけあって日本語は流暢だ。落合さんもまたミャンマー語を話す。親身になって話を聞いてくれるふたりのもとには、毎日のように誰かが訪れる。