ロケーションは最高で爽快感抜群

私のイメージにあるのはニューヨークの「バッテリーパーク」、ロンドンの「カナリーワーフ」、シドニーの「ダーリングハーバー」といった大規模な港湾開発によって生まれ変わった臨海スポットだ。世界的な大都市の再開発では港湾開発が重要な役割を果たすケースが多い。寂れ果てた港湾がウオーターフロントの人気スポットに生まれ変わって世界中からヒト、モノ、カネを呼び込む。都市の新たな「顔」になるのだ。

築地、勝どき、晴海の湾岸エリアも構想次第でそうなる可能性を秘めている。JR品川駅と田町駅の間にある品川車両基地の廃止にともなって再開発される跡地を経済特区に指定して国際都市にしようという構想もあるが、あそこは見晴らしが悪くて爽快感もさほどない。

その点、築地、勝どき、晴海エリアのロケーションは最高。海辺から富士山やレインボーブリッジを借景に、東京タワーやビル群がパノラマで見渡せる。夜景も素晴らしく、東京湾の花火大会も目前で見られる。爽快感抜群だ。

ランドマーク、職住近接、食の街

築地、勝どき、晴海の一体開発プランには盛り込むべき要素が3つぐらいある。1つは東京を象徴するランドマーク的な建造物。パリと言えば凱旋門とエッフェル塔、ニューヨークと言えばセントラルパークにかつてのワールドトレードセンター、シドニーならダーリングハーバー、オペラハウス、シドニーブリッジなど。世界的な大都市にはシンボリックな建造物が必ずあって、街の「格」というものを誇示している。東京にはそれがない。スカイツリーは貧相だし、東京タワーは多少貫禄はあるが、エッフェル塔の格には及ばない。「これぞ東京」というランドマークが欲しいのだ。

2つ目の要素は職住近接。海外の企業やビジネスマンを呼び込むには、職場と居住場所が近いことが重要になる。外国人は通勤に1時間もかけるのを嫌がる。職住近接を好むのだ。アジアで言えばシンガポールの街は職住近接しているし、香港も職場と住宅が近い。シンガポールや香港に奪われた多国籍企業のアジア本社機能を奪い返して東京に取り込もうというなら、職住近接のコンセプトは不可欠だ。築地、勝どき、晴海エリアはビジネスの中心地に近いから、住宅を整備すれば職住近接のライフスタイルが提供できる。

3つ目の要素は食。築地のオリジンは何かと言えば基本は魚市場であり、海鮮料理を中心とした食の街というのはやはり訴求ポイントになる。世界中からやってくる観光客はもちろん、近辺で働く大勢のビジネスマンも利用できるような圧倒的な規模のレストランゾーンが必要だろう。