科学的根拠に基づいた公平・公正な議論をすべき
あれだけ止めておいたほうがいいと言っていたのに、タバコ撲滅を進めた東京都の小池百合子知事に続き、またもや感情論で、タバコ撲滅を目論む計画が、兵庫県が進んでいる。
兵庫県知事5選を果たした井戸敏三知事は、津波防災インフラ整備計画や山地防災・土砂災害対策計画を策定するなどのハード面、地域防災力の強化のため、地域での避難訓練への支援を行うなどのソフト面、ハードとソフトをともに充実させてきた十分な実績を持つ。築地でコケ、豊洲でコケた小池知事と違い、今さら人気取り政策に走る必要はない。
私はタバコを吸う。そして、タバコを嫌いな人が多数いることを承知している。
議論で意見が分かれたとき、私たちはどうすればいいのか、それは科学的根拠に基づいた公平・公正な議論をすべきなのである。
どこぞの隣国のように、徴用工問題でも、レーダー照射問題でも、理屈抜きに「日本憎し」を掲げていればいいという国では、残念ながら日本はない。感情論だけで「タバコはダメ」というのであれば、将来に必ず禍根を残す。
タバコが嫌いな人にいくら理屈を説いても、「でもやっぱりタバコはあかんよ」で終わってしまうようなことが、日本ではこれまでずっと起きてきた。そういう光景を見ていると、日本人は果たして隣国のふざけた振る舞いを笑えるのか。ほんとうに心配になってしまう。
飲酒による社会的損失は4兆円以上、タバコは半分の2兆円
話は大きく2つに分かれている。
1つ目は、「タバコは絶対禁止」にするのであれば、タバコよりも社会的に損失を与え、健康被害が明確に確認されている「お酒」についても「絶対禁止」にする必要があるということだ。
英国のがん研究所は「がんに関しては安全な飲酒量などない」と断言している。口腔がん、咽頭がん、食道がん、乳がん、肝臓がん、大腸がんは、アルコールとの関係が指摘されている。飲酒による事故やDVなどの社会的損失は、厚生労働省研究班の調査によると4兆円以上で、タバコは半分の2兆円だ。タバコが子どもにとって危ないという以上に、酔った人物による幼児虐待、暴力事件は後を絶たない。そういったお酒の被害者の声に耳を傾けずに、タバコだけはダメ、ということにはならない。