行政による陰湿な中小企業イジメでしかない

そのへんから、すでに私は頭が痛くなってくるのだが、この加熱式タバコを一緒くたにすることによって、飲食店では経営の選択肢が他県に比べて狭まる。国法であれば現在の喫煙エリアを加熱式タバコ専用室として使用可能であるところ、兵庫県ではこれができず、場合によっては、これまでの投資が無駄になってしまうこともあるだろう。

これによって最も影響を被るのは、中小の事業者に他ならない。結局、その影響に耐えられない中小飲食店だけが競争から脱落していくことになる。せっかく準備を整えたのに、その努力をナシにするという条例なのである。行政による陰湿な中小企業イジメでしかない。

また、これは国の定めた基準からも大きく逸脱するものだ。兵庫県が国の定めた基準や科学的根拠を覆すファクトを、自ら調査して持っているのならそれで結構だが、兵庫県は何を根拠に突っ走っているのだろう。

この現代にあって、紙巻きと加熱式タバコを一緒だと考える国民はどれぐらいいるのだろう。臭いもほとんどなく、私は排気ガスや香水の匂いのほうが気になってしまう。吸っていても、全然パンチ力がないので、私には吸った気がしないぐらいだ。ましてや、健康被害が明らかでないのだ。これを禁止しようなどと考えるのは、ただの感情論ではないか。

「健康被害の恐れがない」との証明などできるはずがない

兵庫県は「現時点で健康被害の恐れがないとの証明がなされていない」という。しかし、これは「悪魔の証明」と呼ばれるものである。「健康被害の恐れがない」との証明などできるはずがない。そんなことを言うなら、兵庫県庁の職員よ、身の回りにあるもので、健康被害の恐れがないことを証明してみてほしい。大根でもきゅうりでもいいのだ。健康被害の恐れがないことなど証明できようはずがない。

ちなみにでいうが、白米だって、牛肉だって、健康被害の証明はされている。

・白米には、糖尿病のリスクと正の相関関係がある。つまり、糖尿病になる危険が増す。
・加工肉の摂取量が1日あたり50グラム増えると脳卒中のリスクが13%増加する。赤い肉の場合は、1日あたり100~120グラム増えるごとに脳卒中のリスクが11%上がる。
(津川大介著『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』より)

兵庫県は、健康被害が明らかになっている白米やソーセージを禁止しようというのだろうか。そうではないだろう。きちんと加熱式タバコの調査もせずに、感情論で先走るのは止めたほうがよい。

東京都の小池百合子知事は典型例だが、人気取りに走ろうとなると、結局、感情論優先で、敵をつくってタバコを規制しようとする。

兵庫県のインバウンドは、京都府(743万人)や大阪府(1110万人)と比べて、158万人と、あまり盛り上がっていない。加熱式タバコが禁止されたから、兵庫県は、海外の旅行者にとって魅力が上がるのだろうか。そうではないだろう。完全なる分煙を進めるのが、兵庫の魅力を高める施策だと思う。

ぜひ東京・銀座のカフェに行ってみてほしい。喫煙席は外国人観光客でギューギューの満員なのである。

(写真=iStock.com)
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