大手商社の場合▼あなたはどのような人間ですか?
上位校の学生に高い人気を誇る商社。三菱商事は昔からトップ層の学生の人気が高く、続いて伊藤忠商事と三井物産が拮抗。少し遅れて、住友商事と丸紅が続く。北野氏は「商社の採用では同業他社はもちろん、外資系コンサルや外資系金融も競合になる。特に上位3社はこれらの外資系企業を意識し、ケース面接を行っています」と言う。17年は、三菱商事が2次面接でケース面接を実施。「通勤電車の過剰乗車を防ぐ施策をできる限り多く、かつ多角的に講ぜよ」「個人経営の塾を立て直すための施策を3つ考えよ」などのお題が与えられた。伊藤忠商事もグループディスカッション形式のケース面接を行っている。
「ただしケース面接は選考過程のごく一部。商社の面接で最も重視されるのは”総合力”です。商社のビジネスは、コミュニケーション力や人を巻き込む力が問われることが多い。海外経験や、異文化の人たちを動かして何かをやり遂げたエピソードがあれば鉄板です」(北野氏)
重視する点は同じでも、質問には各社のカラーが出る。三菱商事では「少子化のなか、企業がグローバルに勝ち続けるには何をすべきか?」、伊藤忠商事では「トランプ大統領をどう思うか?」などだ。各社の特徴ごとに対策を練る必要がある。
伊藤忠商事の面接官はココを見ている!
▼1分の動画で熱意ある自己PRができるか●澤瀉久修
当社は、5大商社のなかでは最も従業員数が少ない会社です。その分、一人ひとりに個の力があり、物事をやり抜く強さを持った人材を採用したいと考えています。
選考での独自の取り組みとしては、エントリーシート提出時に、1分間の自己PR動画を2本出していただきます。テーマは、1つは「あなたが伊藤忠で成し遂げたいこと」、もう1つは「あなたはどのような人間ですか」というもので、その理由とともに自己表現してくださいとお伝えしています。スマートフォンなどで撮影をしてもらい、エントリーシートだけでは伝わりにくい、採用試験に臨む意気込みや熱意などを見させてもらっています。
なぜ伊藤忠なのか 熱意を持っているか
面接で見ているポイントとしては、学生の志向と当社のビジョンが合っているかどうかです。面接というのは、こちらが学生を見るものですが、同時に学生も私たちを見ていると意識しています。お互いやりたいことや目指す方向性がマッチングしなければ、いかに優秀でもそのポテンシャルを発揮することはできないと考えています。選考ですから、どうしても採用・不採用という結果が出ますが、それはその方の人としての優劣を判断しているわけではないのです。
このほかには、面接のなかでも、冒頭に申し上げた個の力ややり抜く意志の強さ、困難な状況に直面したときの姿勢や対応力、いい意味で周囲を巻き込むことのできるリーダーシップなどを重視して見ています。志望動機やなぜ商社なのか、なぜ商社の中で伊藤忠なのかという定番の質問は当然しますが、何らかの判断を下したときに、なぜその選択をしたのか、自分の言葉でしっかりと説明できるかどうかも重要なポイントです。
最終面接までくると、学生の皆さんは特に優秀なので、合否を分ける差というのは本当に紙一重です。その最後の判断材料になるものを挙げるとすれば、やはり当社を選んだ理由や熱意の部分です。
当社は、多少不器用だったり、論理構成に粗さがあったりしても、そこに強い意志やほかの人にない個性があれば、そちらを評価する社風です。さまざまなバックグラウンドを持った学生にきていただきたいと思います。