「考える野球」のベースは「聞いてメモを取る」

当時の私はメジャーリーガーを「パワーとスピードだけの大雑把な野球をする選手」くらいにしか考えていなかった。でも大雑把な、上辺だけの野球をしていたのは、日本の野球のほうだった。そのことに気づいて以来、私は毎日のようにブレイザーを質問攻めにしながらメモを取った。

打者の心構え、バッテリーの配球、守備のポジショニング、攻撃のセオリーとその応用など、ブレイザーから聞く話は思わず唸ってしまうような奥深い答えばかりだった。「野球とは、ここまで考えなければいけないスポーツなのか」としみじみ感じた。

私の「考える野球」のベースにあるのは、あの頃ブレイザーと交わした会話から学んだものばかりだと言っても過言ではない。私の場合、「聞く」という行為と、「メモを取る」という行為はイコールで結ばれるものだった。

質問し、答えをメモし、読み返す

聞くことで得た答えをメモし、それをノートにまとめて読み返す。すると、その時は何気なく聞き流していたために感じなかった矛盾や新たな疑問が、次々と湧き上がってくる。私は「聞く」「メモする」「(ノートにまとめて)読み返す」を繰り返すことで自分の「聞く力」を養い、野球の奥深さを学んでいった。

「何でもかんでも質問するとバカだと思われる」。そんなことを気にして、なかなか自分の疑問に思っていることを周囲に聞けない人が結構いる。しかし「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉にもあるように、答えを得ればそれが今日を生き抜く知恵となり、明日を明るく照らす光となる。人はその積み重ねによって成長していくのである。

だから、みなさんも疑問に感じたことは恥ずかしがらずに積極的に聞くようにしてほしい。それをメモし、読み返すことを繰り返していけば、あなたの「人間性の幅」はどんどんと広がっていくはずだ。