日本が力ずくで韓国に日本の主張を飲ませることは不可能だ。そうであれば、完璧な直接証拠を公開し、韓国側が全く反論できない状況を作り出すしかない。そしてその直接証拠とは、まさに電波情報だ。
先に述べたように、電波情報の開示には、自衛隊活動上の支障があるのかもしれない。また国際慣習上の相互主義というものによれば、相手が開示する場合にこちらも開示するというのが作法らしい。ゆえに韓国側が電波情報を開示しない中で、日本だけが開示するのはおかしいという主張もある。
しかし今回の火器管制レーダー照射事件において日本は、韓国との関係に配慮して穏便に済ませようとする選択をせずに、ガチンコでぶつかって日本の主張を韓国に認めさせよう、謝罪させようとする選択をしたのである。今や、日本と韓国は真っ向からぶつかり合って、どちらかが嘘を言っていることは間違いない状況だ。
このような状況では、自衛隊活動上の支障や、相互主義という慣例に反するというデメリットはあったとしても、ここは電波情報という直接証拠を開示して、白黒はっきりとさせるべきである。それができないというなら、初めからガチンコ勝負を挑むべきではなかった。
第三者機関による判定がない以上、日本が出す証拠が間接証拠、状況証拠だけなら、韓国側は火器管制レーダー照射を否定し続けるだろう。日本も徐々に証拠を出しているが、ここは電波情報という直接証拠を出すしかない。電波を受けたときの「音」というのではまだ足りず、電波情報そのものを開示すべきだ。第三者機関による判定のない当事者どうしのガチンコのケンカの場合には、完璧な直接証拠を開示して、相手が絶対に反論できないようにするというケンカの作法に則るべきだ。
徴用工判決問題も「ガチンコのケンカ」
韓国大法院が日本企業に賠償責任を認めたいわゆる徴用工判決を巡る日韓の紛争も収束をみない。これも、最終的には国際司法裁判所や仲裁委員会を利用することも可能だが、前者は日韓が合意しなければならないし、後者は日韓協議による外交的解決が不可能になってからの話である。
ゆえに基本的には、第三者の判定に頼らず、日本と韓国という当事者間において自分の主張を相手に認めさせることが紛争解決の柱となり、これは火器管制レーダー照射事件と同じく日韓当事者によるガチンコのケンカとなる。ところが、日本の政治家や自称保守論客たちは、どうも当事者同士によるケンカの作法を知らないようだ。
(略)
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.136(1月22日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【韓国徴用工問題(4)】レーダー照射事件でも対立激化の日韓関係! 日本が「勝つ」ための方法は?》特集です