漫画の原風景となった故郷・大分
久しぶりに故郷・大分県日田市に帰るという諫山が、『進撃の巨人』の原風景となった“秘密の場所”に案内してくれた。そこは、生まれ育った日田の町を見下ろす高台。マッチ箱を並べたような小さな町を、山がぐるりと囲んでいる。少年時代にこの場所をたびたび訪れたという諫山は、ここで何を思ったのか。
【諫山】「やっぱりここから出たい、田舎から出たいですかね。壁の外、田舎の外の社会には巨人がいるってことになりますね。その巨人と戦わなきゃ外では生きていけない」
高台から故郷を眺める諫山の姿は、壁の上から街を眺める主人公エレンと重なって見えた。そろそろ『進撃の巨人』に決着をつけなくてはならない。
『進撃の巨人』最後の一コマ
10月『進撃の巨人』最終幕に向けての打ち合わせが行われていた。担当編集者に進捗を問われると「イメージはある」と答える諫山。
【諫山】「変わる可能性もありながら書いてる感じです」
見せてくれたのは長い物語の最後の一コマ。それは、幼子を抱く何者かの後ろ姿と、ただ一言「お前は自由だ」と語りかけるセリフだった。
今、この瞬間も無我夢中でゴールを目指す。そんな諫山に、次回作について尋ねると、「あります」と言い切ったが、迷いもあるようで……。
【諫山】「ありますけど、書かないかもしれない。その可能性が高い。もう一回この生活を始める覚悟ができるかどうか。でも、いろいろな漫画家の先輩方を見ていると、結局は自分も描きたくなるんじゃないかって気がしますね……」
まだまだ諫山の闘いの日々は続く。われわれも、もう少し一緒に夢が見られそうだ。
漫画家
1986年大分県生まれ。専門学校九州デザイナー学院 マンガ学科卒業。2008年週刊少年マガジン第81回新人漫画賞で入選を受賞。 2009年より別冊少年マガジンにて「進撃の巨人」を連載中。第35回講談社漫画賞を受賞。締め切りに追われる日々の中、ゲームと格闘技観戦が息抜きという32歳。