――落合さんに今後期待することはなんでしょうか。

落合陽一、猪瀬直樹『ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法』(KADOKAWA)

落合くんはとても聡明で頭が切れます。その上で、手を動かす。実際落合くんに頼めばなんとかしてくれる。それは問題解決の思考回路ができているからです。

彼は「現代の魔法使い」とも言われますね。ホリエモンが名付け親だと聞いています。「波動使い」、つまり音と光に関する研究を通じて、まるで魔法のようなアートを生み出していたことが、そのキャッチコピーの元になっていると。でも今は波動にとどまらず様々なことについて発言し問題解決に取り組んでいます。その点では江戸時代の発明家・平賀源内のようです。学者であり、芸術家でもある。「土用の丑の日」をつくったのは源内だったという説があるほどです。

でもそれが事実だったとして、いまの時代はコピーライターがたくさんいます。「現代の平賀源内」がやる必要はありません。落合くんはなんでもできるスーパーマンだからこそ、できる限りリソースを集中して、大きなプロジェクトに取り組んでほしいと思います。

政治家にならなくても、社会は変えられる

政治家になるのはおすすめしません。地方自治体の首長には権限がありますが、総理大臣は合議制であり、大臣になるために何度も当選して序列に沿って階段を上らないとダメです。彼にとってはものすごくエネルギー効率が悪いでしょう。

政治家にならなくても社会をよくすることはいくらでもできます。本書でも「ポリテック」という、ポリティクスとテクノロジーを組み合わせた概念を詳しく説明しています。いまやっているように、プランナーとして小泉進次郎くんなどと一緒に社会課題の解決に取り組んでほしいと思います。

そして身体をこわさないように祈っています。全然寝ていないようですし、長生きにも興味がないと。僕も若いときはそのように思っていましたが、72歳まで生きた今、なんだかんだありましたが、楽しいですから。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)
作家
1946年長野県生まれ。87年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。道路関係四公団民営化推進委員会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授などを歴任。2007年東京都副知事、12年東京都知事に就任、13年辞任。現在、大阪府市特別顧問。
(構成=プレジデントオンライン編集部)
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