本庶佑京都大学特別教授のノーベル生理学・医学賞受賞が決まり祝福ムードが高まるなか、「大学への補助金を増やせ」という論調が目立ち始めた。しかし補助金を増やせば研究は必ず活性化するのか。橋下徹氏が異論を唱える。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(10月23日配信)より、抜粋記事をお届けします――。
ノーベル医学生理学賞の受賞が決定し、笑顔を見せる京都大の本庶佑特別教授=2018年10月1日、京都市左京区(写真=時事通信フォト)

同級生のお父さん、本庶教授は日本の誇りだが……

10月1日、本庶佑京都大学特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞することが決定した。日本の誇りである。本庶さんは、僕の高校の同級生である本庶君のお父さん。僕は本庶君とは親しい間柄ではなかった。彼は、僕の高校の中で学業超優秀な学生として有名で、僕が親しくしていた友人連中のグループとは別グループだったんだよね(笑)。僕らが高校生だった今から約30年前のときに、「本庶のお父さんはノーベル賞を取るような人やで」という話を既に耳にしていた。ノーベル賞は、やっぱり取るべき人が取るもんなんだね。

本庶さんの受賞を受けて、「大学への補助金を増やせ」という議論が起きている。しかし僕は、今の日本の大学の状況のまま、大学の予算を増額することには反対だ。僕は大学予算、研究予算に限らず、税金のあらゆる使い道はしっかりとチェックすべきだということを強く訴えて、政治活動をやってきた。これが僕の政治活動の柱だ。

民間企業は、カネの使い道を誤ってしょうもないことをやれば、すぐに倒産だ。民間企業の場合には、この倒産のリスクがあるから、基本的にはカネの使い方には自ずと厳しくなる。カネの使い方がいい加減な民間企業は倒産して消えていく。

しかし、政治行政の世界には倒産がない。ゆえに金の使い方を誤っても何のリスクもないので、放っておけばいい加減な金の使い方になる。大阪府政、大阪市政における税金の無駄遣いも酷かった。

(略)

僕が大阪市長に当選した2011年頃は、心斎橋筋商店街も道頓堀界隈も、黒門市場も、どこもかしこも閑古鳥が鳴いていた。それが今は、満員電車状態だ。

大阪城公園も人で溢れかえっている。たこ焼き屋が3年間で1億円以上の脱税をやって捕まるくらいの勢いだ。1億円以上の脱税って、たこ焼きだけでどれだけ儲けていたんだ?

閑古鳥が鳴いていた黒門市場も、世界の潮流に従い、イートイン、すなわち食べる市場として完全復活した。もう市場は売るだけではダメだ。ロンドンでもパリでもフィレンツェでも、市場は巨大なレストランと化している。日本の市場も金沢の近江町市場をはじめイートインに転向していって大流行り。黒門市場も外国人観光客相手に大流行りだ。