大胆に規制緩和を進める発想があってもよい

NTTドコモなどの株価急落は、政府の介入が企業の収益性を悪化させるとの懸念に他ならない。政府要請に対応した結果として民間企業の株価が急落したことは無視できない。

政府は頭ごなしに民間企業の行動を求めるべきではない。それより、アニマルスピリットが発揮されやすい環境を整備すればよい。通信業界への新規参入はさらに促進されるとよい。また、非通信分野の成長に必要なテクノロジーの開発支援も強化されなければならない。ライドシェアやキャッシュレス決済など、世界的に注目を集めているテクノロジーの普及に向けて、大胆に規制緩和を進める発想があってもよいだろう。

反対に、そうした政府の取り組みがないままに料金の引き下げだけが求められると、各企業の経営体力が低下してしまう恐れがある。それは利用者の満足度を低下させる要因だ。その意味で、政府による市場介入が構造改革につながるとは言いづらい。政府がダイナミックに規制緩和を進め、その中で各通信企業が新しい取り組みを進めることを期待したい。

真壁昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年、神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=時事通信フォト)
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