「渋谷教育学園渋谷」に並び立つ存在になる可能性

また、ドルトン東京学園は、カリキュラムや教育方針に独自性をもっており、大学附属系とは異なる流れをつくり出す可能性を秘めている。価値観が多様化している時代にあって、中学・高校・大学と最長10年間同じ環境に身を置く「大学附属」を避ける保護者も一定数はいる。しかし、この学校なら大学にエスカレーター式に上がらなくとも、自分の力で未来を開き、多様な進路を見つけられるかもしれない。

私は、初年度からの数年間のライバル校は、校風や先進性などを鑑みて、大学進学にも実績がある「三田国際学園」(東京都世田谷区)になると見ている。注目度はすでに高いので、順調にいけば、将来的に「広尾学園」(東京都港区)や「渋谷教育学園渋谷」(東京都渋谷区)に並び立つ存在になるかもしれない。

そもそも「ドルトンプラン」とは何なのか?

では、ドルトン東京学園は具体的にはどのような学校なのか。

ドルトン東京学園の校門と教室(撮影=中本順也)

校名の「ドルトン」とは、およそ100年前にアメリカで生まれた教育メソッド・ドルトンプランに由来する。このメソッドは、ヨーロッパやアジアなど全世界で高く評価されており、近年特に熱が高まっている。それが中高一貫校として日本初上陸した形だ。

詰め込み型学習への問題意識から誕生した学習者中心のメソッドで、「教える」と「学ぶ」のバランスを大切にしながら、子どもたち一人ひとりが自分の学びたいことを、自分に合った方法で学んでいく。そうやって主体性・探究心・創造性を育みながら、社会性や協調性・思いやりを大切にしていくことで、人とのつながりの中で力強く生き抜く子どもたちを育てていくというのがコンセプトだという。

学校の説明によれば、1学年は100人で25名1クラスの少人数制。校舎は、「生徒の自主性を引き出すための設計」となっており、教室は壁三面がホワイトボードとなっている。図書館は2フロアにわかれ、蔵書は1.5万冊程度。体育館は天井が高く、バスケットボールコート2面分を確保している。職員室も中が見通せるユニークな仕様だ。

人気の私立中高一貫校と同様に、グローバル教育にも積極的だ。中2にオーストラリアホームステイ、高1にアジア海外研修を予定。国内でも在日外国人のコミュニティや大使館訪問などを通してグローバルな視野を養っていくという。

教科横断・総合型のプロジェクト学習も売りのひとつだ。各学年のある時期に1つのテーマを設けて、そのテーマについて全教科横断型の学習を実施していくことも企画されている。例えば、人口・食糧問題について中2の6月に英語・国語・社会・理科・家庭科・情報の科目でそれぞれ探究型の学習を実施する。

また、「フェス」と呼ばれる行事も多数企画されている。スポーツやアート、ミュージックのフェスが企画されているほか、「STEAM FES」として科学や技術、工学、芸術、数学を総合した発表型のフェスもある。具体的には、ドローンを飛ばしたり、プログラミングしたレゴ製のロボットを動かしたりすることを企画しているそうだ。