ビジネススクールも、セミナーも、オンラインサロンも、すべてに共通するのは、結局は、何もしていないのに、何かしているように錯覚してしまうことだ。そこで何か得たものを生かして、起業したり、新規事業を始めたりするなら、行った意味があるかもしれないが、そういう人は滅多にいない。大抵の場合は、セミナーに参加して悦に入り、帰り道に一杯ひっかけて、翌朝何も変化をしていない自分と再会するだけだ。
学び直しといえば、「資格取得」をめざす人も多いと思うが、これもまた、無意味な学び直しの代表格といっていい。士業をめざしているなら、大半のものはやめたほうがいい。何十年も営業をやっていて、突然、公認会計士や弁護士をめざすという人が周りにいたら、全力で止めるべきだ。あらゆる士業があと5~10年でAIに取って代わられるからだ。
会計士や弁護士は一部の人がかろうじて生き残れるかもしれないが、司法書士や税理士は全滅する、と私は見ている。行政書士も通関士も厳しいだろう。
プライドを捨て、「ダウングレード」せよ
MBAも資格取得も意味がないとしたら、転職時にアピールできることは、これまでの仕事の実績ということになる。自分には大した仕事の実績もないから、何をアピールすればいいかわからない。そう悩む人は多いだろう。
しかし、悩む必要はまったくない。大した実績などなくても、転職に成功することは十分可能だからだ。その方法は至極簡単なこと。仕事を「ダウングレード」すればいいのである。具体的に言えば、いま勤めている会社より、規模の小さな会社、都心ではなく地方の会社に、あえて狙いを定めて、転職するのである。
おすすめは、経営者が年老いていて、若い後継者どころか、中堅社員がほとんどいないような会社だ。地方でよくみかける中小企業である。2017年度「中小企業白書」によれば、今後10年のあいだに、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、そのうち約半数(日本企業全体では約3割)の127万社もの企業が、現時点で後継者が決まっていないという。
こういう会社は、後継者、あるいは番頭になってくれるようなミドルエイジをのどから手が出るほど求めている。そうした会社を狙って転職すればよいのである。