かつて私は国内のビジネススクールで教鞭をとっていたが、講義の後に、希望する学生と連れ立って飲みに行くと、「MBAなんて、役に立たない」と伝えていた。とまどっていた学生も、何週間か後にまた飲みに行くと、「成毛さんの言う通りかもしれません。MBAをとれば、なんとかなると思っていましたけど、なんともならないですね」と言っていたものだ。

セミナー受講者から起業家は出ない

国内MBAと同様に、行っても無意味だと思うのは、さまざまなビジネスセミナーだ。営業から人材育成、最新テクノロジーまで、ありとあらゆる分野のセミナーが各地で開催されているが、それを受講したことで、どれだけビジネスの能力が上がったか、冷静に振り返ってみてほしい。本人からすれば意味があったと思いたいだろうが、実際にはほとんど仕事に役立っていないのではないだろうか。

成毛眞『定年まで待つな! 一生稼げる逆転のキャリア戦略』(PHPビジネス新書)

以前、ビル・ゲイツと、ヴァージングループ創業者のリチャード・ブランソンが、ある起業セミナーに登壇したことがある。その楽屋に居合わせたのだが、ビルが「おい、今日は何がテーマなの?」と聞くので、「起業セミナーなんだってさ」というと、ビルとブランソンが爆笑していた。「参加者は3000人いる」と伝えると、もう大爆笑。

なんで笑っているのかと聞くと、「いやあ、この3000人から起業家は1人も出ないよな」「起業のために人の話を聞きに来るなんて頭が悪い」「こんなムダな時間の使い方をするヤツが成功するなら、俺は逆立ちしてやるぞ」と言いたい放題だった。

これを聞いて、あなたはどう思うだろうか。最近は、「オンラインサロン」といって、著名人のもとに集まるコミュニティのようなものもたくさん出てきているようだが、そんなものに入会したところで、活躍できる人にはなれないと思う。