「働き方改革」で社員の連帯感や経営層への信頼感が低下
やりがいの重要さは理解できる。それでも職場の働きやすさが向上すれば、仕事にも前向きにがんばるのではないかと思うが、実際はそうなっていない。
この調査結果を踏まえると、働き方改革によって残業時間の削減や在宅勤務などの柔軟な働き方を整備しても、必ずしも従業員の満足度や仕事のやりがいにはつながらないのではないか、という疑念が湧いてくる。
実際にそうした企業も少なくない。同社の調査担当者もこう指摘する。
「働き方改革が目的化してしまい、働きやすさだけの改善にとどまり、やりがいが下がってしまうケースも見うけられます。仕事の量が変わらないのに労働時間だけを削減し、仕事以外のコミュニケーションが減ってしまい、従業員の連帯感や一体感などの得点が下がってしまった企業もあります。また、テレワークによって働く場所の自由度が高まることで、かえってコミュニケーションの機会が減ってしまう。今までと仕事のやり方を変えずに働き方改革を進めた結果、従業員同士の連帯感や経営・管理者層への信頼感が下がったという会社もあります」
労働時間削減の強行で、業績は落ち、やる気ない社員は増加
確かに自社の働き方改革に対する不満の声も少なくない。
例えば、業務の効率化と称してムダな仕事や会議などを徹底的に排除した結果、職場がギスギスしてしまい息苦しくなったという事例は、多くの企業で聞かれる。
会社がやみくもに時短を叫んでも、額に汗して働く社員がそれに納得し、主体的に動かなければ、表面的な働きやすさが向上するだけで、肝心のモチベーションが下がってしまうことにもなりかねない。
働き方改革法の施行まで半年余り。法的リスクを回避するために労働時間の削減を強行した結果、業績が上がらず、やる気のない社員だけが増えてしまうという最悪のシナリオもありうるのだ。