あなたならフライパンをどう売りますか?

例えば、「このフライパン、通常2000円のところを980円でご提供します!」これもお得感を演出する上では大切なことではあります。ですが、「このプライパンで料理するとプロ並みの出来栄えになり、旦那様やお子様もとても喜ばれ、尊敬のまなざしをもらえるでしょう!」――このように、その商品やサービスを受けたときの感情を言葉で説明してあげることで人は動きます。つまり、購買につながるのです。

この考え方は、会社組織においても当てはまります。

経営者は社員にやる気を出してもらうために報酬を支払います。そのときには、単に給料を上げるだけでなく、仕事の“やりがい”を与えるといった、感情に寄り添った報酬の与え方が効果的な場面もあるのです。

私の知人の、ある年商25億のグルーブ会社の2代目社長は30代でありながら、この5年間で離職率0%という驚異の数字をたたき出しています。これも、単に社員の給料を上げているのではなく、社員に受け持っている仕事の意義をしっかり説明し、一見単純作業に見える仕事も、意味ある楽しい仕事に変えているのです。社員教育のプロは、感情にちゃんと訴えるコミュニケーション技術を持っているのです。

稼げる人はどのような感情を刺激しているのか?

それでは、稼ぐ人の説明というものは、具体的に聴き手のどんな感情を刺激しているのでしょうか?

稼げていない時の私は、大学時代の教育学の講義で習った「動機付け」という考え方をそのまま受け取り、「これは楽しいよ!」「成績伸びるよ!」「さあ、がんばっていこう!」などの安直な励ましばかりを精いっぱいにやっていました。

しかし、生徒からの反応はイマイチ。むしろ、授業アンケートには「暑苦しい」、「ちょっとウザい」などと書かれました。

そこで、稼げている講師は具体的にどのような感情を刺激しているのか、ある一流講師の講義を、説明力という面から分析していきました。

すると、稼げている講師は、意外にも「ここができないとマズい」という言い方をしていることに気がつきました。

先のダニエル・カーネマンは「プロスペクト理論」を唱えています。どういう理論かというと、実は、人が心理的価値(満足度)を感じるのは、「利益を得る<損失を回避する」というものです。

これを受験生の状況に当てはめてみると、「得点できる<失点しない」のほうが感情を強く刺激することができるということになります。

さらにいうと、受験生の中でも浪人生は、もう二度と入試で落ちたくない(失いたくない)気持ちが強く働きます。