稼げる士業・稼げない士業「定番資格15」

一方、昔から人気の高い定番資格はどうだろうか。

在職中から退職後まで長く活用していけるのは、「簿記」だ。

「一般的に評価されやすい資格の筆頭です。ビジネスで重要なのは会計リテラシー。経理部の人だけではなく、営業職や企画職でも、簿記の知識を身につけておけば強みになる。決算書の読み方などが身につくので、ビジネスの採算管理や経営分析に役立ちます。自分の仕事が会社の利益や、売り上げ、企業活動にどう反映されるのかもわかります。独立して経営者になるにしても、会社に残って昇進するにしても、簿記検定2級程度の知識は身につけておくべき」

その他、「電気主任技術者」というビルや電気設備のメンテナンスで非常に高く評価されるような資格もある。実用性の高い資格が、自分の業務に関連する範囲に潜んでいないか、チェックしてみてほしい。

定年や早期退職後の独立開業を視野に入れるなら、士業は手堅く思えるが、落とし穴はないのだろうか。鈴木氏は、戦略的に取得・活用すべきと指摘する。

「士業のなかには、落ち目になりつつあるものも多いです。IT化で、10年後には仕事がなくなる可能性もある分野が増えている。間違いなくお金になると思われてきた税理士や司法書士でさえも、単に手続き業務をしているだけでは危うくなるでしょう。『資格を取れば安心』ではなく、どう活かすかが鍵になる。コンサルティング力や専門的ノウハウを磨くなど、自分なりに資格活用の戦略を立てるのがポイントです」

士業のなかでも、応用がきく有用な資格は、経営コンサルティング分野で唯一の国家資格である「中小企業診断士」だ。

「税理士はお金、司法書士は土地や法律、弁理士は特許と、扱う分野が限られています。しかし中小企業診断士は守備範囲が広く、幅広い分野で活躍できる。難度は高いですが、応用性のある資格ですね」