個室のネイルサロンでボロボロ泣いた

九州での営業はお酒の席が多く、夜はほとんど毎晩、会食や宴会の予定が入っていました。はしごが当たり前で、ときには4次会まであるのです。みなさん都心部から遠くないところに住んでいるので、終電という感覚もありません。このときはお酒に強い体に産んでくれた両親に感謝しましたね。

ラジオ番組の中でも定番の時報や交通情報などは、素人でも広告を取りやすい時間帯です。私はお酒の席で仲良くなった人の会社を狙って、飛び込み営業を続けました。知り合いを一件一件訪ねているうちに、やがて契約が取れ始め、社員たちの私を見る目が違ってきました。

社内で誰も話を聞いてくれない時期、徳田さんはネイルサロンで辛い思いを吐き出していた。(AFLO=写真)

辛いことがあったときは、誰かに話を聞いてもらうことが救いになります。私の場合、それは個室のネイルサロンでした。人の耳があるので、そこくらいしか話を聞いてもらう場がなかったのです。7歳ほど年上の女性ネイリストに指先を預けたまま、辛い経験を話してはボロボロ泣いたものです。

そんなこともありましたが、翌年、社長になった頃には会社の業績も向上し、社員たちも私のほうを向いてくれるようになりました。私は15年6月までの2期、社長として勤務し、妊娠をきっかけに退任、プロパーの後任に引き継いでもらいました。

その後、生まれた子供を連れて福岡を訪ねると、もう役職から外れた後だったのに、みんなが子供や結婚相手を連れて会いにきてくれました。あれは本当にうれしかったですね。

徳田和嘉子(とくだ・わかこ)
MAYA SYSTEM取締役
1983年、茨城県生まれ。水戸一高、東京大学法学部卒。在学中に書いた『東大生が教える! 超暗記術』がベストセラーに。卒業後はCROSS FM社長などを経て、現職。
(構成=久保田正志 撮影=市来朋久 写真=AFLO 、iStock.com)
関連記事
"バイトリーダーvsゆとり社員"の戦い
"ビールのCM"に出ていた女子大生の9年後
会話上手な人は「話したいことを捨てる」
できる検察官の"自白"を引き出す対話術
転職に必ず失敗する人のイタい口のきき方