▼第3の鍵:中途入社や非正社員は必須条件ではない

中途入社の占める割合と正社員の占める割合を比較すると、大きな差はないことがわかります。全体平均、ポジティブ退職者のいずれも、中途社員の割合は56%前後、正社員の割合は80%台前半となっています。中途か新卒か、という点は「ポジティブ退職者になれるか」という点では大きな影響はないようです。

一般的に企業組織へのロイヤリティは新卒一括採用で生まれる同期の関係や、全体で行われる初期研修、入社年次意識、などによって育まれると考えられてきました。しかしこの結果は、中途採用者でも、企業に対するポジティブな評価は生まれる、ということを示しています。

また、待遇面や勤務環境面において、非正規の社員と正社員の間には明確な差がありますが、「非正規社員は退職した企業にネガティブな思いを抱きやすい」とは言えないようです。

つまり、中途社員にも新卒社員にも、正社員にも非正社員にも、ポジティブ退職者になることができるチャンスは広がっているのです。特に正社員比率に差がなかったことから、待遇面の不満が企業への総合的なネガティブな評価につながるわけではないことが示されています。ポジティブ退職者になるポイントは、どのような企業を選ぶかにかかっているのです。

▼第4の鍵:「3年未満」で見切りをつけるのも手

在職期間について比較すると、長いほどポジティブ退職者が多く、短いほど少ない傾向がありました。

例えば、大学新卒3年未満の退職者は「3年3割」とも言われ、早期退職者の代名詞のように使われます。早期退職は個人にとっても組織にとっても、回避したいミスマッチですが、3年未満の退職者は、退職した企業をポジティブには評価しづらいと言えそうです。

ただ、「第三の鍵」でみたように、中途採用者と新卒採用者でポジティブ退職者になれる可能性に差はありませんから、新卒入社企業で合わないと感じたら「第一の鍵」で見たような長期育成の姿勢がある企業を見つけて、転職してしまうのが最良の選択肢かもしれません。