一方、保坂氏は、人間関係を3つに分類して、整理する方法を勧める。
「自分の周囲にいる人たちのうち、自分が何をしようと常に支持してくれる味方といえる人はだいたい3分の1程度しかいません。そして何をやっても批判してくる、いわば敵が3分の1。残り3分の1は状況に応じて敵にも味方にもなる、どちらでもない人たちです。大事にするのは3分の1の味方の関係だけで、どちらでもない人や敵のためにエネルギーを割いてつきあう必要はない、と考えましょう。もし味方から結婚式に呼ばれれば、万難を排して出席する。しかしそれ以外であれば、無理して出席する必要はありません」
相手からの誘いを断るとき、「失礼ではないか」と慮ったり、罪悪感を感じる必要はないという。
「どちらでもない人や敵が誘ってくる理由は、義理やしがらみ、人数合わせなどのため。むしろ断ったほうが安堵するケースが多い。『自分が身を引くことで、迷惑をかけずにすむ』という発想で、気軽に断っていい」(保坂氏)
迷わずに「絶縁すべき」タイプとは
適度な距離を保つことを推奨する2人が口を揃えて、関係を断つべきだというタイプもいる。ひとつは貸したお金を返さない人間。信頼するに足りないばかりか実害を及ぼしているので、こればかりは問答無用で絶縁してよい。もうひとつが、会社や同僚の悪口ばかり言う人間だ。なぜなら、「ネガティブな思考を聞いていると、荒んだ感情になる」(同)うえに、「一緒にいるだけで、同じように悪口を言う人間だと周囲から思われてしまう」(向谷氏)からだ。
こうしたタイプには、「悪口を聞かされたら『同じような批判を向こうも言っているのでは……』という感想を漏らす。そうすると話しても気分がよくならないから、次第に離れていきます」(保坂氏)。上の項目の「自慢ばかりする同僚」でも書かれているように、嫌がる対応をすることで、相手から縁を切ってもらうという手段もあるのだ。
ただし人間関係の整理のしすぎには気をつけるべきだという。
「定年後、生活のメインステージは、職場から居住する地域に変わります。会社を辞めて誰ともつながらない状態はつらい。将来を想定して、近所づきあいは良好な関係を築いておくのが賢明です。また年を重ねると新しい友人というのはなかなかできないので、同窓会にはなるべく顔を出し、古くからの縁は切らさないようにしましょう」(保坂氏)