ブック・スマートからストリート・スマートが重要に

【栗岡】なるほど、本を読んで得た知識(ブック・スマート)だけでなく、実体験に基づいて蓄積された知恵(ストリート・スマート)の重要性を私自身、日々の調査・運用業務で噛み締めています。だからこそ、私は日本中をできるだけ訪問しオーナーや社員の方々と直接お話しをすることで、財務諸表に載らない企業文化や人間性を理解するようにつとめています。色々な場所で出会いを重ねると、時に社会を俯瞰できる瞬間があり、幸運にも人やビジネスの新たな繋がりを産み出せたりします。

【松嶋】僕も栗ちゃんと同じ、人を見るように心がけています。食材に関して言うと人の顔を見るといい。僕、農薬沢山使ってますって顔(笑)に出るから。畑を見るよりまず人の顔をみるといい。

【栗岡】企業調査も同じです。必ず経営者の方がたの顔をみて眼を合わせて会話をして買うか決めています。株式も料理も、「株」分けがないと成立しませんね(笑)。

それにしても日本だけでなく世界の畑をまわって生産者の方々の顔をみに行くわけですよね。飛行機乗り継いで、レンタカー借りて会いにいったら、想定した面構えと違っていたらショックじゃないですか? それでも、出会いを重ね続けるのは、松嶋さんのパーシャル・サクセス力ですね。

【松嶋】自分が痛い思いしても別にいいです。未来の糧になるから。僕の考えはもともと農家だから、痛い思いをうんこだとすると人生の肥料にしちゃえばいいんです。糞にもならないようなことが起きたら流すけどね(笑)。

【栗岡】新陳代謝高めな発言ですね(笑)。正しく色んな情報を体験を通じて体内に入れて、挑戦というアウトプットを行う。想定通りいかなくても、パーシャル・サクセス。全てを未来の大成功の肥やしにする。

【松嶋】くそ野郎だねって言われるのは有難いもん。

【栗岡】なるほど、言い換えると、「君、未来の大成功の肥やしを沢山つくってすごいね!」になりますね。

栗岡大介(くりおか・だいすけ)
レオス・キャピタルワークス シニア・アナリスト。ニューヨーク州立オルバニー大学卒業。岡三証券に入社、機関投資家向け営業でトップセールスに。2013年3月にレオス・キャピタルワークスに入社、アナリストとして運用部に配属。強みは足を使ったリサーチのほか、日常の変化をマーケットに落とし込むこと。また、両親が画家ということもあり写真、絵を描くこと、料理など趣味は多岐にわたる。
松嶋啓介(まつしま・けいすけ)
“KEISUKE MATSUSHIMA”オーナーシェフ。フランス芸術文化勲章、農事功労章シュバリエ。高校卒業後、辻調理師専門学校で学びながら、酒井一之シェフの“ヴァンセーヌ”に勤務。20歳で渡仏。フランス各地のレストランで働き、2002年25歳で南仏ニースに“Kei’s passion”をオープン。外国人シェフ最年少の28歳でミシュランガイドの星を獲得。
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