親の経済力が低くても独学する人は大成する
教育機会における「格差」の問題が引き続き関心を集めている。
「いい学校」に行くためには、塾や参考書などにお金がかかる。大学に進んでも、「奨学金」というかたちで「借金」をすると、後で苦労する。
つまりは、家庭の経済力で受けられる教育が変わってしまい、卒業した後も、その影響がずっと続く。そのような認識が広がりつつある。
社会全体として、経済格差によって子どもたちが受けられる教育が変わらないようにすべきことは当然である。財政が厳しい中でも、教育費の無償化や一部補助は、「未来への投資」としてぜひ充実させるべきだし、奨学金のあり方も見直して、改善すべきだろう。
一方で、お金ですべてが決まってしまうという「運命論」はいかがなものか。学びのあり方を冷静に見ると、経済力だけでは測れない可能性が見えてくる。
作家のヘルマン・ヘッセやジョージ・バーナード・ショー、アーネスト・ヘミングウェー、作曲家の武満徹、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイやジミ・ヘンドリックス、建築家の安藤忠雄、人工知能研究者のエリエゼル・ユドカウスキー……。
これらの人物は、すべて、正規の学校教育に頼らずに、それぞれの分野で一流の業績を成し遂げた「独学者」たちである。彼らの成功を、単に「特別な才能があったから」と片付けるのはもったいない。そこには、これからの教育を考えるうえで重要なヒントがあるはずだ。