本気で繋がりたいなら何度でも会いに来る
【松嶋】確かに、縁を一番大切にしてるかな。ただ、小さい頃からそういう性格でもなかったんだ。実は、小学校6年生の卒業式が人生に大きな影響を与えてくれて今の自分がある。
小学校3年、4年の時の担任の先生が鬼のように怖くて。とにかく厳しくて、よく殴られました。でも卒業式の日に“一期一会”と黒板に書いたんです。それからですね、私のものの見方がガラッと変わったのは。一期一会という言葉は「一回しか会わないかもしれないからしっかりそこに尽くしなさい」という意味だよね。茶の湯の世界でも一期一会ってあるからね。僕の場合は、縁を感じ、繋がりの重要性を強く感じた。
よくレストランへ「面接してください、お願いします」って人が来るんですけど、断るとそれっきり。本当に縁を感じて繋がりたいなら、何度でも会いに来る。けど、1度門前払いされて来ないんだったらそこまで本気じゃなかったってことだろうなと思うし、本気だったら何度でもコミットできるんだけどね。誰かに縁を感じたら、努力して繋がりを創らないといけないと思う。自分から繋がりをたぐり寄せる力が重要だと、小学校の卒業式の日に悟ってしまった。
失敗はすべてパーシャルサクセスという考え方
【栗岡】実は私、松嶋さんは料理人ではなく“冒険家”だと認識してます。レストランのロゴが描かれた船に松嶋さんと乗組員がいる。そいて、「人」を「良くすること」が「食」であるという哲学をベースにお金には換えることの出来ないような繋がりや発見・発明というお宝を探している。
いつも最高速度で冒険を続けるので、船に穴が開くことも。すると、世界中でご縁を育んできた人たちが、水をかき出したり、帆を張り直したり、手伝いに来てくれると思うんです。どんなに傷だらけになっても、冒険を続ける。実際に東京、ニースだけでなく、世界中で様々な取り組みをしてますよね。プレッシャーを感じることはないんですか?
【松嶋】感じてないですね。失敗があったら、むしろラッキーです。
【栗岡】それで思い出したんですが、以前北海道で民間ロケット製造・打ち上げを行っている企業経営者の方とお話する機会がありました。前回のロケットの打ち上げについてメディアに散々「失敗」と書かれたんです。