勝手に「既読はイエス」だと解釈される
LINEのやり取りでしばしば問題になるのが、読んでいるにもかかわらず返事をしない「既読スルー」だ。「その解釈は人によってまったく違うのが問題」だと石原さんは指摘する。なぜなら、上司の既読スルーをイエスと取るかノーと取るかは部下によって違ってくるからだ。
例えば、SNSで有休を申請し、上司の返事を待とうとしない部下がいる。有休は当然の権利とはいえ、上司は仕事の段取りを考えて返事をしようとしているかもしれない。勝手に「既読はイエス」だと解釈されるのは釈然としない。逆に言えば、上司は部下からLINEで申請や提案が来たら、GOかNGかを早めに返信するのがマナーになるのだ。
こんなトラブルもある。LINEグループで1人だけ返事がない人がいると思ったら、いつの間にかグループから勝手に「退出」していた。すべての業務連絡をLINEグループで行っているプロジェクトの場合、そこから抜けられては仕事にならない。幸田さんはこんなトラブルを何度も耳にしたそう。取引先も入っているグループで若手部下が突然退出し、上司が慌てて連れ戻した例もある。
SNSの中でも、特にLINEは人と簡単につながれる分、関係を切ることにも抵抗がない若手が増えている。こうした振る舞いは「LINE文化」(幸田さん)と言えそうだ。
グループチャットで、言い争いが多発
LINEに限らず「グループチャット特有の問題」を石原さんは指摘する。一部の人にしか関係ない話題が続く場合だ。例えば、10人のグループで5人だけにかかわる話が延々と続いてしまうと、残りの5人を関係ない話に付き合わせることになり失礼だ。「長くなるなら『続きは会って話しましょう』と区切りをつけるべき」(石原さん)。そうした気づかいを見せるのが、SNS時代のマナーだろう。
このように顔の見えないチャットのやり取りは気を使う。もし、グループ内で一部の人が言い合いを始めてしまったらどうすべきか。無論、炎上している2人が最も無礼なのだが、よかれと思って仲裁に入った人が、かえって場を荒らすことも多々ある。火に油を注ぐ結果になり、揉め事が長引けば、周囲はなおさら迷惑だ。
石原さんのアドバイスは「炎上はスルーして、『ところで……』とまったく関係ない話を始めること」。あえて空気を読まない発言をして、周囲のうんざり感を間接的に伝えるのだ。