既読スルーをめぐる、ボタンの掛け違い

いまやSNSは職場でも欠かせないツール。社内のやり取りにLINEを使ったり、上司や部下、同僚がお互いにフェイスブックでつながって近況報告をしたりするのはよく見かける。だが便利なはずのコミュニケーションツールがしばしばボタンの掛け違いやトラブルを引き起こし、職場を混乱させているのも事実である。

Getty Images=写真

若い部下にチャットで指示を出したら「りょ」と返されて、意味がわからずポカンとし、「了解」の略だと知って唖然とした上司がいる。LINEを使い倒している若い世代特有の略語は、中高年には失礼で理解しがたいものに映る。

しかし、SNSに詳しいコラムニストの石原壮一郎さんは、若者言葉に一定の理解を示す。「場を和ませようと、あえて使っているかもしれない」というのだ。だから、そんな部下には頭ごなしに叱りつけず、「仕事上のコミュニケーションではふさわしくない」と冷静に伝えたほうがいい。

伝えるべきは、申し訳なく思う気持ち

一方で丁寧ならいいとも限らない。LINEやチャットでは長文メッセージはマナー違反になる。この点、中高年はメッセージが長くなりがちなので要注意だ。ITコンサルタントの幸田フミさんも「(長文メッセージは)返事も丁寧にしないといけないと相手に思わせる」と釘を刺す。

また、スマホで見る場合、長文は思いのほか読みづらい。幸田さんが勧めるのは、スマホ画面で2人分のメッセージが収まる程度。簡潔を旨としよう。

働き盛りの世代なら、「大事な用をメールで済ますな」と怒られた経験もあるだろう。ところが、若い社員は何でもかんでもLINEで伝えてきて平然としている。違和感を覚える人もいるだろうが、こうした若手に悪気はない。相手の都合が読めない電話のほうが失礼だと思っているのだ。

幸田さんは、急なキャンセルや予定変更といった相手に迷惑をかける行為は、SNSではなく、電話で伝えたほうがいいと諭す。「その際、伝えるべきはキャンセルの理由ではなく、申し訳なく思う気持ち。情緒的な部分は口頭で伝えるのが一番です」。