熊本市交通局では、路面電車の運転士の採用には定年が65歳である以外年齢制限がない。電車の運転士になりたい人のキャリアは様々で、元ガードマンや眼科助手もいるが、交通局によると、「運転士のなり手が少なく、毎年募集中」とのこと。仕事はシフト制だが、現場の事情はカツカツだ。

「収入的には半分以下になりましたけど、もらっているほう」

「たとえば、6時半に起きて、8時15分から乗車開始、17時まで乗って20時に帰宅する日もあれば、4時半に起きて、6時から15時まで乗車して、帰宅する日もあります。そんな日はビール一本飲んで、19時には寝ています。収入的には半分以下になりましたけど、ほかの自衛隊卒業組と比べると、もらっているほうだと思います」

自衛隊時代は、たとえば離島での任務などで泊まり込むことも多かった。そんな激務を経験し、「同期の隊員の中でも、体力に自信があった」という緒方さんだが「最初のころは余裕かと思いましたが、意外と体力的にはきつくなってきますね」と苦笑する。

2015年末から乗務を始めてしばらくして、16年の4月、熊本地震が発生した。

「自衛隊の仲間たちが災害復興にあたるのを見ながら、自分は運転士として何をすべきかと考えましたね。路面電車ですから、まずは線路の状態を皆で確認して、3日ほどで復旧できたものの、最初はガラガラで、乗客数も落ち込みました。でも、最近では外国人の観光客の方も増えて、震災前よりも賑わっているくらい。路面電車から見える再建中の熊本城が、以前の姿に戻るのを楽しみにしています」

(撮影=大槻純一、研壁秀俊、藤原武史)
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