これまで労働市場では、「転職するなら35歳まで」というのが定説だったが、最近は中高年で転職でキャリアップする人が増えているという。シニアの就職事情に詳しい専門家に、職務経歴書の書き方など、自分を売り込むポイントを聞いた――。

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これまで労働市場では、「転職するなら35歳まで」というのが定説だったが、今や中高年で転職する人が増えているという。シニアの就職事情に詳しいキャリア ドメイン代表の谷所健一郎さんは、こう説明する。

「介護、外食といった人材難が深刻な業種では、中高年の採用を拡大しています。それに、中小企業では、幹部クラスの人材が慢性的に不足していて、マネジメント経験が豊富なら、50代以上でも引く手あまたですね」。シニアには、長年築いてきた実績や人脈といった強みもある。凄腕の営業マンなら、50代でも即戦力として他社に引き抜かれる例は珍しくない。

大勢のシニアの転職を支援してきたキャリアカウンセラーの中谷充宏さんは、「例えば、大手電機メーカーで海外工場の開設・運営に携わった経歴を買われ、他のメーカーの海外工場長に就任した50代の人もいます」と明かす。

とはいえ、中高年になると、求人が激減するのも事実。熾烈な争いを勝ち抜くためには、何が必要なのか?

「シニアはキャリアがあって当たり前。それにどんな付加価値をつけられるかが勝負です。過去の延長線上を進むのではなく、新しい境地を開ける人なら、門戸が広がるでしょう」(谷所氏)

例えば、メーカーの営業所長なら、マネジメント能力を活かして、人材が足りない介護施設の事務長に転身するといった道もある。「法人営業担当だった50代の人が渉外能力をアピールし、畑違いの港湾関係団体の総務部門に再就職した例もあります」(中谷氏)。