「第二の創業」をするぐらいの気概がいる

2大流通大手に目を向けると、セブン&アイは、イトーヨーカドーのネットスーパーという、独自のプラットフォームを構築するのが強みだ。しかし近年、アウトソーシング化を進めており、今後の自前体制に不安が残る。

イオンは18年2月、ソフトバンク、ヤフーと提携して、独自のネット通販事業の共同実施に向けた検討を進めると発表した。鍵を握るのは、プロジェクトを引っ張るリーダーの存在だろうか。

デジタルシフトを図るには、経営者本人にITの知識がなくても、責任者となるナンバーツーがいればいい。しかし改革を断行できる可能性が高いのは、失敗しないことで現在の地位を手に入れたサラリーマン社長よりも、創業社長のほうだろう。「第二の創業」をするぐらいの気概がなく、既存のビジネスの延長で臨んでしまう企業に、成功は待っていないはずだ。

鈴木康弘(すずき・やすひろ)
デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年、富士通入社。96年、ソフトバンク入社、99年、イー・ショッピング・ブックス(現・セブンネットショッピング)設立。15年、セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOを経て、17年、デジタルシフトウェーブ設立。SBIホールディングス社外役員兼任。著書『アマゾンエフェクト!』(小社刊)。
(構成=吉田洋平 写真=EPA=時事、iStock.com)
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