コミュニケーションミスの責任は、発信者側にあるのです。

たとえどんなに素晴らしいビジネス戦略を考えたとしても、それを組織に伝えることができなければ実行されず、成果を得ることができません。「絵に描いた餅」で終わってしまいます。

相手に1回で伝わる「伝え方」の3原則

では、相手にきちんと「伝わる」伝え方とは、どのようなものなのか――。

相手に正しく「伝わる」ためには、雄弁であったり、声を大きくする必要はありません。次の3つの原則を押さえておく必要があります。

[原則1]「短く」伝える

長い説明、長いメール、とても読みきれないほどの資料……。

自分が受け手側のときは、誰でも「明らかにダメ」だとわかるはずです。にもかかわらず、自分が情報の発信側になった途端、「伝えなければならない」という気持ちが強くなって情報を詰め込みすぎてしまい、長くなってしまうのです。

長くなってしまう原因は、自分の持っている情報をすべて発信しようとしてしまうからです。枝葉な情報までをすべて伝えようとして、結果、話に「背びれ」「尾びれ」がついてしまいます。

大切なのは「最低限、何を伝えるべきか」。一番伝えたいメッセージを中心に、伝える情報の「選択と集中」をするのです。

[原則2]「構造」を意識して伝える

「昨日のあの件どうなったの?」と聞かれて、「最初にAさんに連絡して、そのあと担当のBさんに相談したんですけど、そこでクライアントさんからご意見をいただいて変更したら、今度は別の部署から意見をもらいまして……まだ決まってません」という答え方をする人がいます。物事を時系列で話してしまい、結論が最後に来るのです。

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ほかにも、「この話、なんだかわかりづらいな……」という場合、よくよく深掘りして聞くと、2つ、3つの違う話が混ざっていることが多いものです。例えば「関西地区の売上ってどう?」と聞かれたとき、「関西地区は残念ながら下がってきています。また、福岡県や愛知県も下がってきています。一方で、客足が最も伸びているのは横浜です」と答えたら、相手は混乱しますよね。

「自分は大丈夫だ」と思っている人も多いですが、会議などのプレッシャーが大きい場面ほど、このような話し方をしてしまう人が多いようです。

これは、話す側の人が情報を論理的に「構造化」できていないために起こります。