「自分語り」のオレ様系上司が社員の士気を下げる

サラリーマンの場合、大体、年を取るにつれて、肩書は上がっていくケースが多い。また、目上の人に対して、敬語を使うといったように、縦の序列を意識した「上意下達」的コミュニケーションが一般的で、自然と年を取れば、話を黙って聞いてくれたり、調子を合わせてくれたりする後輩が増えてくる。

そんな調子で「オレ語り」がデフォルトになってしまう人も多い。最近、飲み会に参加したがらない若い人が少なくないと言うが、こういう「俺の言うことを聞け」おじさんの説教に辟易しているところもあるのではないだろうか。人(部下)の話を聞かない。アドバイスを求めようとすれば、必ず「自分の話」にすり替わっている。自分をアピールし、自分の手柄をなぜか話に盛り込んでくる。そんな「オレ語り」系のおじさん上司、皆さんの周りにも一人や二人必ずいるはずである。

▼SNSの8割は「自分の話ばかりする人」

もちろん、「話したがり」はおじさんばかりとは限らない。

写真=iStock.com/Mlenny

英リバプール大学のロビン・ダンバー教授らの調査(1997年)によると、人は会話の60%、自分の話をしているのだそうだ。ソーシャルメディア上では、その比率がぐんと高まり、20%のinformer(客観的な情報を提供する人)であるのに対して、80%が“me”former(つまり、自分の話ばかりする人)。確かに、ソーシャルメディアには、「こんなおいしいものを食べた」とか「どこそこに行った」とかという、「自分話」であふれている。特に、セルフィー、ソーシャルメディア世代の若者に「ナルシスト」が増えているとする分析もよく見かける。

女性だって、おじさん以上に自分の話をする。しかし、一方的に話すことはなく、自分の話をし、相手の話も聞く。じゃんけんでいえば、あいこを続けるバランス感覚で、延々と「会話」を楽しむのだ。

このように、「ダメ出し」「自分語り」大好きなオレ様系上司が跋扈し、部下の働きを認めることも、ほめることもないという、深刻な職場の「コミュ力の“貧困”」が社員の士気を阻害し、日本の会社によどみを生んでいる。そうしたカルチャーの下で、本当のコミュ力を鍛えることのなかったおじさんたちが、仕事を離れた時、青ざめるのだ。「人とのつながり方がわからない」と。

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