長々とオジサンが語りたがるのは「脳が気持ちイイから」
そんな「オレ様」系コミュニケーション事例にこんなものもある。
2017年6月に創刊した50、60代の男性向け雑誌『GG(ジジ)』の編集長が、雑誌のインタビューで指南した「おじさん向けのナンパ術」というものだ。
ネット上では「うっとうしい」「キモイ」と大ブーイングだったが、そんな「うんちくを語りたがるおじさん」は少なくはない。このように、男性が主に女性に対して、見下すように、一方的に解説・助言・説明することをアメリカではMansplaining(マンズプレイニング、man+explaining=説明する)と呼び、男性の独りよがりのコミュニケーションを揶揄することがあるが、そんな造語が最近、日本でも流布している。
▼「自分のことを話す時、人はセックスと同じ快楽を感じる」
ではなぜ、おじさんは語りたがるのだろうか。
それは、ずばり「気持ちがいい」からだ。米ハーバード大の心理学者ダイアナ・タミール氏らの研究(2012年)によれば、「自分のことを話す時、それが会話であろうと、ソーシャルメディア上であろうと、人はお金や食べ物、セックスと同じような快楽を感じる」のだそうだ。
約200人の脳をfMRI(機能的磁気共鳴画像診断装置)で調べたところ、被験者が自分のことを話している時、脳内の側坐核、さらに、腹側被蓋野と呼ばれる領域の動きが活発化するのが確認された。これらの領域は、神経伝達物質、ドーパミン放出に関係があるとされる箇所で、ドーパミンは快楽物質とも呼ばれ、食事やセックス、お金などの報酬やドラッグによって分泌されるものだ。
普段は、男性は女性より口数は多くない。しかし、「男性は、『世界に認めてもらいたい』、『より多くの人に影響力を与えたい』、『尊敬されたい』、という欲求があるため、人前で話す機会が与えられると、どうしても話が長くなる。大勢を前にした男性のスピーチは結局、ほとんど自慢」という説もある。