電力の地産地消で10年間5000万円の節約
企業連合の先を見すえた動きに行政も反応する。
小田原市は、17年7月6日、「エネルギーの地域自給の促進に係るモデル事業」として、湘南電力、エナリス、ほうとくエネルギーの3社と協定を結んだ。モデル事業の実施期間は、17年7月から28年3月末まで。協定の締結に伴い、湘南電力は、私立幼稚園、小中学校の計42施設に小田原市内で発電された電力を含む地産電力の供給を始める。
具体的には7つの小学校に蓄電池と、太陽光発電設備を設置する。蓄電池の一体制御はエナリスが担当し、42施設全体での電力需要のピークを低く抑える(ピークカット)。コントロールがうまくいけば、省エネルギー効果が高まり、余分な電力をつくらずに済む。当然、設備投資を抑えられる。
小田原市の試算では、供給電力会社の切り替えで幼稚園と小学校の電気代は過去の平均と比べて10年間合計で約5000万円節約できるという。
ほうとくエネルギーの志澤副社長は、地産地消の目標をこう定める。
「小田原市域で、電気代が年間300億円ぐらい支払われています。電力の自由化で、新電力が生まれ、湘南電力も設立されたけど、このうちの90%以上を大手電力が抱え込んでいます。300億円のせめて30%、90億円分を地産地消に変えられれば、地域にお金が回り始めるんです。大手電力に払った代金は流れていくだけ。そこを地産地消にすれば、まったく新しい経済循環が生まれます」
小田原の企業連合の動きから目が離せなくなった。